ハートネットTV シリーズ認知症 当事者とつくる新時代(2)パートナー

先日、伯母が初期のアルツハイマー型認知症と診断された。直接会うようなことは当分無いのだけど、姪として何か出来ることは無いか、知っておかねばならないことは無いか、また母に情報提供するようなことは無いか、と思い、今回のこのハートネットTVの番組を見ることにした。
この番組で言う「パートナー」とは、伯母のケースにはあまり必要では無さそうだけど、Living well with dementiaという概念が統合失調症などの精神疾患にも使えそうだと思った。

Living well with dementiaとは、「認知症とともによく生きる」と訳されるそうだ。番組内では、具体的には「診断前にやっていたことを何もやめなくていい状態」のことだと、スコットランドの認知症当事者の男性が言っていた。これは非常に意味深い解釈だと思った。
例えば叔母は、もう70歳を過ぎているんだけど、いまだにパートで働いている。若い頃から縫製工場に勤めていて、ミシン掛けの技術に秀でているので、その腕を買われて、社長から懇願されて雇用されている。そして今回、認知症と診断されたけど、解雇されることもなく、また医師からも「辞める必要はない」と言われたそうで、毎日車で通勤しているそうだ。
そう、車の運転もしているのだ。バスも通っていないド田舎だから車が無いと生活が出来なくて、それではく奪されていないだけって噂もあるけど。番組に出てきた丹野さんは、自分から返納したようだが、伯母もいずれはそういう日が来るのだろう。

さて、ではLiving well with dementiaをLiving well with schizophreniaにしたら、どうだろうか?「統合失調症とともによく生きる」だ。「診断前にやっていたことを何もやめなくていい状態」は、どうだろうか?
私は、大学在学中に初診があって診断されているので、その頃のことを考えると、大学も中退してしまったし、まともな仕事も出来なくなったし、とてもLiving well with schizophreniaとは言い難い状態だ。何よりも苦痛なのが、本が読めなくなってしまったこと。音楽も2012年に統合失調症と診断された当時は、とてもじゃないが集中できなくて、聞けなかった。それが、最近はiPodを買ったこともあって、流し聞きが出来るようになってきた。なので、慣れだったり、訓練したりで、出来るようになるのかな、とは思うんだけど。でもやはり、本を読むのはなかなか骨が折れる。理解できない、頭に入ってこない、目が滑る、そんな感じだ。
ブログ村の統失カテなんかを見ていると、文字通り「診断前にやっていたことを何もやめなくていい状態」で維持している人が、ちらほら見受けられるので、そういう人は発症から治療までがスムーズかつ迅速だったんだろうな、とか思ってしまう。あとは、私が登録している統合失調感情障害のカテには、統失カテより酷いというか、重めな人が来ているなぁと感じる。

でも、やはり理想は、Living well with schizophreniaでありたい、と思う。出来ないからといって何もしないでいては、どんどん出来なくなっていくと思う。音楽が聴けるようになったように、本も少しずつなら読めるようになってきていると、若干だが実感している。老化が速いか、リハビリが速いか、という状態だが、何もしないよりかはマシだろう。