『ポーの一族 春の夢』読了

昨日に引き続き、今日も読書。アマゾンで買った大好きな萩尾望都の作品、『ポーの一族 春の夢』を読み終えた。これはあえて紹介しなくても、好きな人は勝手に買うだろうし、知らない人はスルーするだろう。知らない人には、是非一度手に取って読んでもらいたい。少女マンガ好きのみならず、SF好きな人にも馴染む作風だと思う。

ところで、この作品を読む前に、読んでおかなければならない作品がある。それが、同じく萩尾望都の作品である『ポーの一族』だ。不死身の吸血鬼がテーマのファンタジー漫画で、この作品を知ったのは高校生の頃だった。同級生に萩尾望都の大ファンな子がいて、「erikoなら絶対気に入ると思う!」と言って紹介してくれたのが、『ポーの一族』だった。私は、そのストーリーだけでなく素敵な画風も気に入り、お小遣いが許す限り、萩尾作品を買い求めた。ノートの隙間に毎日描いていたキャラ絵も、高橋留美子風のものから、萩尾望都風の画風に変わった。それくらい影響を受けた。
ところが、高校生というのは悲しいもので、お金が無いんだよね。うちも当時は家計が厳しく、お小遣いも3000円しかもらえなかった。それ以上はアルバイトをして捻出していたが、近所の子供に勉強を教える家庭教師のアルバイトで、ただの高校生がそう何人も教えられるわけがなく。『ポーの一族』の漫画は、3巻セットの豪華版が2巻までしか買えなかった。今、また新たに出ているようなので、それを買おうと思う。

さて、この『ポーの一族 春の夢』だが、少し読んでホッとした。萩尾先生、変わってない! 一時期、別の作品で、かなり画風が変わっていたり(雑になった)したので、もう御歳だし、線に勢いが無くなっても仕方がないのか、と落胆していたが、この『ポーの一族 春の夢』を見る限り、そんなものは杞憂に終わった。素晴らしい出来だ。
吸血鬼と人間の細やかなやり取りが、緻密で美しい絵柄によって演出される。ポーの村も出てきて楽しかった。アランは相変わらず調子が悪くて、ほとんど出番が無いのが可哀そうだったけど、中盤、意外な形で注目を浴びることになり、こういう展開はホント萩尾望都って上手いよなぁと思った。
新キャラのファルカは、最初普通に親切な人だと思っていたけど、途中からどんどん怪しくなって、遂にエドガーが勘付いた時は本当にドキドキした。こういう展開も、やっぱり本当に上手いと思った。最後、ブランカを巡って一悶着があり、息もつかせぬ展開とはまさにこのことだな、と思った。

今回は運良く第1刷を手に入れることが出来たけど、そんなに売れてないのかな? こんなに素晴らしい作品なのに。ぜひもっといろんな人に見てもらいたい。