番組を見ていて、精神障害者の雇用が進まない原因の1つに、障害者自身が健常者に対して、障害を理解してもらう努力を怠っているのではないか、ということが挙げられると思った。
例えば統合失調症を健常者の母に理解してもらうケースを考える。陽性症状の派手な症状は、言動という形に出てくるので、母も理解しやすい。反面、陰性症状は「怠けてるだけじゃないか?」と思われやすい。また、認知機能障害に関しては、母は恐らくまったく理解していなくて、「年のせい」とか思っているようだ。
そして、日によって、あるいは1日の中でも、体がだるくなったり、頭がぼんやりしたりすることがあることは、全然理解されていない。
以前、「頓服を飲んだからだるい、眠い」と言ったら、母に「なんで? 頓服効いてないの?」と驚かれたことがある。それを聞いて私は、「あぁ母は病気の事、全然理解していないんだな」と思った。
母は、統合失調症の薬について、単純に「妄想や幻覚を脳から取りはらって元気を出してくれる便利な薬」だと思っていたようだ。そんな便利な薬があったら、ノーベル賞もらってるわ。
まぁそんな感じなので、抗精神病薬は一種の鎮静剤のような効果があって、症状を抑え込んでいるだけだから、元気は出ないし、むしろ鎮静する方向に効く、とその時説明した。こういう現実を、もっと健常者というか、一般社会に広めていかなくてはならないと思う。
そうすれば、公共の乗り物に乗っている精神障害者が、薬の副作用でだるくて座りたいと思っていることも、たやすく理解されるだろうし、乗り物で精神障害者の料金が割り引かれることも、理解されるだろう。また、勤怠の悪い精神障害者がなぜ休みがちなのかも、理解が及ぶと思う。
そもそも、知的障害者に「なんでお前はこんな簡単な計算もできないんだ、障害に甘えているだろ! できるように努力しろ!」等と怒る職場、ありますかね? 腕が無い身体障害者に「なんでおまえは左手で字を書いているんだ、障害に甘えているだろ! 右手の義手で書けるように努力しろ!」等と怒る職場、ありますかね?
何故精神障害者だけが、その障害特性で健常者よりも劣っていることについて、怒られたり、注意されたり、健常者と同じようになるよう努力を求められたりしなければならないのか? 私は本当に意味が分からない。
障害者が健常者と同じように働けるなら、それはもう障害者手帳を返納すべきだし、障害年金も受け取るべきではない。障害者雇用をして、国から補助金を得ているなら、障害者は障害者として扱うのが筋なんじゃないの?
職場でも同じ。身体や知的は、その障害に応じて適切な配慮を受けているように見えるけど、精神だけは、不当な要求を突き付けられて、「これが出来ないなら雇わない」と言われているように見える。
私が最も憤っているのは、週5日フルタイムで働かないと、障害者雇用として認められない事だ。今のご時世、非正規雇用がどれだけいると思っているの? もう正社員・正規雇用にこだわる時代じゃないんだよ。障害者なら尚更、週3日1日5時間勤務でも障害者の助成金を出すような政策を、国が主導するべきだと思うね。