録画していた、EテレのハートネットTV『ひとりひとりに向き合って~写真家・大西暢夫が撮る精神科病棟』を見た。
私は精神科病棟への入院経験や、病棟を持つ精神科病院への通院経験が無いため、精神科病院の病棟ってどういう所なのか、まったく見当も付かなかった。勝手な想像で、隔離室?保護室?のイメージが強く、独り言をつぶやいたり、壁に向かって叫んだり、壁に頭を打ち付けていたり、そういうような危険な患者が多いのかと思っていた。
しかし、番組では本当にごく普通、とは言い難いが、まぁ薬の影響で呂律が回らないのかな、とは思う程度の、言ってみれば、私がかつて利用していた地域活動支援センターに来ている人と大差無いような人たちが映っていて、かなり拍子抜けした。
最初、この写真家大西さんは、下衆な好奇心で精神科病棟に入院する患者を撮影しているのだと思っていた。私も、そういう下衆な好奇心でこの番組を見ようと思った。結局、人間は下衆なものが好きなんだな、って思った。ワイドショーで、芸能人の誰が離婚したとか不倫したとか、そういうのバカバカしいな、と思いつつも、見てしまう。そういう心理と一緒かな、と思った。
大西さんに撮ってもらった患者たちは、皆くだけた笑顔で、良い表情をしていた。大西さんの腕の力なんだと思う。こんなに表情豊かなのに、退院できないって、何なんだろうと思った。私と、この番組に出てきた患者さんたちと、何が違うのだろうか? 支援センターにだって、番組の患者さんたちと変わらない病状の人が結構来ている。ただ、親御さんは大変みたいだけど……。
中には、入院してから一度も自宅に帰ったことが無い、と言っている人もいて、この精神病は家族にも見捨てられるのか、と悲しくなった。うちは、理解はあるのか無いのか分からないけど、衣食住のことは気にしてくれるし、特に住居に関しては、親が死んだ後も住むところには困らないように配慮してくれている。それだけでも十分なのかな、と思う。
最後、大西さんに単独インタビュー的な流れがあって、18年の撮影人生で、亡くなられた患者さんもいる、としんみり話していた。私が支援センターと作業所を利用して5年で、知っている範囲だけで2人も亡くなっていることを考えると、そういう人がいてもおかしくないかな、と思う。