高校生の頃、級友に強く勧められて読んだ初の萩尾望都作品が、この『ポーの一族』だった。
それまで、少女漫画というものがどうにも性に合わなくて、少年ジャンプや少年サンデーを読んでいた私にとって、「そんなもん、面白いわけ無いよ」と思っていた。しかし、いざ読んでみると、圧倒的な絵の美しさ、ストーリーの繊細さ、途中途中に挿入される詩など、少年漫画に無い魅力を感じ入り、すっかりとりこになった。
当時、他に小説や漫画を色々買っていて、萩尾作品を買う余裕が無かったので、高校時代は買っていなかったんだけど、大学生になってバイトを始めて、多少余裕が出た時に、3巻セットの豪華版みたいな『ポーの一族』セットが売り出された。私は「あ、高校の時に欲しかったやつだ!」と思って、1冊ずつ買ったんだけど、これ1冊が千円以上する高価な漫画で、本当に「多少」の余裕しか無かった私は、最後の3巻目だけが買えずじまいだった。
その後月日は経ち、最近萩尾先生の作品がどんどん文庫版になったり、セットになったりするようになって、この『ポーの一族』も例外では無かった。Amazonで5巻セットの限定BOXになっているのを見て、「これは今買わないでいつ買うんだ!」と思って、即購入した。
これは5巻セットに加えて、萩尾先生のイラスト入りのポストカードが入っている。もうそれだけでも買いだよね~。
肝心の作品は、高校時代に読んだ記憶とはかなり違っていて、正直言って「あれ? こんな感じだったっけ?」と思った。でも、逆に自分の記憶が間違っていたことが分かって、とても良かった。
萩尾先生が描く、永遠の命を持つバンパネラの悲哀や美しさと、限りある命しか持たない人間の悲哀や美しさ。どちらも幻想的な空想の世界に連れて行ってくれる。
最初は続き物みたいに思えた話も、後半になるにつれて読み切りのようにも思える構成になっていると思う。
今回、この記事を書くにあたりAmazonを検索したら、私が買った限定BOXがもう扱っていないみたいで、愕然とした。まぁそれだけ萩尾作品の人気があるってことだよねぇ。
というわけなので、限定ではない普通の5巻セットも紹介させてもらったけど、本当にいつ品切れになるか分からないので、興味をお持ちの方はお早めにどうぞ。