ETV特集「親亡きあと 我が子は…~知的・精神障害者 家族の願い~」

この番組は「親亡きあと」障害者はどうしたらいいのか?という問題提起をしているんだけど、これは本当に難しい。私自身も未だに答えが出ていない。

番組では、まずグループホームの話が出ていた。私が辞めた作業所を運営している福祉法人でも、グルホを運営している。なので、少し興味を持って見ていたが、私の地元のグルホは一軒家を改造してグルホに作り替えているので、建物が古いうえに、和室と洋室が混在したり、部屋の広さが違ったりして、あまり入りたくない感じ……。番組のグルホは、建物も新しいし、個室もしっかりしてそうだし、こういうのだったら入っても良いかな、と思ったり。
でもやっぱり、プライバシーが無いように思えるんだよね。今は、自室のドアを開けたら家族がいるだけだけど、グルホは赤の他人がいる。それも常に。ストレスでしょうよ。確かに独り暮らしは寂しい面もあるけど、他人の存在に神経を使う息苦しさに比べたら、寂しいほうがマシかな。

それと、精神障害(だけに限らないのかもしれないけど)のグルホは、建てる時に地域の反対が凄い、と聞いた。まぁ分からんでもない。辞めた作業所も、建てる時に反対運動をされて、家族会が地域の家1軒1軒にチラシを配って歩いた、と聞いた。
そう、グルホって、そこに住んでいるという段階で既に「私は障害者です」とカミングアウトしているようなもんなんだよね。だから嫌だ……。

私は、今住んでいる地域に死ぬまで住みたい、とはまったく思っていない。むしろ出ていきたい。引っ越したい。でも、主治医に止められているし、お金の問題もあって、なかなか踏み切れない。貯金はいくらかあるけど、収入が実質障害年金しか無いのだから、そのうち貯金も底を尽く。そんな状態で独り暮らしなんか出来るわけがない。
これが障害者雇用でも働いていたなら、なんとかなりそうだけど、その道はほとんど不可能なことがもう薄々自分でも分かってきているので、多分、私はこのまま今の家で死ぬんだろうなぁと、ぼんやり思っている。

中盤、重い精神障害のある娘を絞め殺した父親が出てきた。なんか、考えさせられるね。
私は以前にも書いたと思うけど、重度障害者は淘汰されるのが自然の摂理だという優生思想的な考えをあまり否定していないんだけど、現実にこういう人が現れると、ちょっと引いてしまう……。でも、父親は断腸の思いで娘に手をかけたんだと思うと、ねぇ。病者の暴行が酷くなったり、暴れたりするのが酷くなったりすると、やるかやられるかの状態になって、親も自分の命が惜しいし、病者に殺されるくらいなら……と思っても不思議ではないと思う。
また、親が亡くなった後、病者が地域でどういう生活を送るようになるのか、不安にもなるだろう。そうすると、いっそのこと……と思う親の気持ちも分からなくはない。

終盤、「ACT(包括型地域生活支援)」という制度が紹介されていた。こういうの、いいなと思った。でも、こういったサービスを提供できる医療機関は限られているのではないかと思った。少なくとも、私が通っているクリニックでは提供できそうにないし、支援センターでヘルパーを頼んだ時でさえ、断られている現状を見ると、精神障害者は身体や知的よりも一段低く見られているのかな、と思う。
とか言っていたら、全国にACTはたった20チームしか無いそうで、そりゃうちのメンクリには無いわけだよと思った。この制度、やたらと人手が要るし、標準医療として広げるのはちょっと難しいんじゃないか?

まぁそんな感じで番組を見たんだが、やっぱりまだ私には答えが出せないでいる。未だに「親が死んだらどうしよう」と思う。