バリバラ「アナタならどうする?~障害者と一緒に働く上での悩み~」

知的障害の人が「食堂の仕事に変わりたいと求められたら?」という課題に、「3.訓練を試みる」という選択肢があって、かなり驚いた。私が考えたのは、清掃業務を続けさせるか、希望を受け入れるか、の2択だった。勤務時間外に訓練させて、適性を見極める、というのは、企業側にも労働者側にも余裕が無いと出来ない事だなぁと思った。でも、やってもらえるなら、やってもらいたいな、とも思った。
ただ、今私が通っている作業所は、一応「体験利用」ということで、普通1か月、私の場合は2か月無給でやったんだけど、それだけでは仕事の適正があるかどうか分からなかった。結果的に、ホール係は適性が無くて仕事がつらくて仕方なく、内職係に異動を願い出たわけなんだが、こういうこともある、と思う。
会場の回答を見ると、「訓練を試みる」が最も多く、福祉に関心のある企業や人だからこそ、やはり障害者に理解があるのかなぁと思った。障害者の労働組合の人は、他の人と一風変わった意見で、障害者相手でも、健常者と同じ対応をすべきだ、とのことだった。教育の機会など同等に与えるべきだと。それも納得できるかなーと思った。

次の身体障害の人が、営業職をやるのに介助者がいないと仕事ができないって、それはちょっと会社や社会に甘えすぎじゃないかと思った。それがまかり通るなら、知的障害の人が知的な労働が出来ないので、知能の高い人を介助人として探してください、って言ってるようなものじゃん。精神障害の人だったら、うつで動けない、出社できない、というのを担いで会社まで運んでくれる人を探してください、って言ってるのと同じだよね? だから身体障害者はあつかましいんだよ、とか言われるんじゃないかな、と思った。
障害者の労働組合の人は、ここでも頓珍漢なこと言ってて、「営業は業務命令」って言うんだよね。違うじゃん。本人が希望して入ったんじゃん。それこそ会社は営利を目的とするところなのだから、嫌なら辞めてもらっていいんですよ?

発達障害の人に対しては、曖昧な表現が理解できない、という特性を恐らく雇用側・上司も分かっていると思うので、そこは理解が欲しいところだなぁと思った。というわけで、私は「2.電車で来てください」と言うね。会場の結果も、2番が圧倒的に多かったので、多数派の意見に入れてホッとした。

次に、統合失調症の人が就職するときの模擬面接を実演していたけど、これはなかなか面白かった。私もいくつか仕事をしたことがあるので、その時々に面接を受けたけど、まず聞かれるのは「何故大学を中退されたんですか?」ということだから、その点についての回答は必ず用意していた。「うつ病で、家から出られなくなり、大学に物理的に通えなくなったため、やむなく中退しました」等と答えていた。もちろん相手は「え、通えないなら、通勤できませんよね?」みたいな話になる。そこで「今は回復して、こうして面接へ来ることができます」と答える。だいたいこれで問題無かった。
だから、ポイントになっている「体調を崩す時の状況・原因を聞く」というのは、精神障害があるなら、どこでもあるんだろうな、と思う。就職を考えている人も、そこらへんは障害者のほうも、相手が納得する答えを用意しておいたほうがいいだろう。
また障害者の労働組合の人を引き合いに出すが、この人が言う「お互いのネガティブな情報を伝える」って、障害者雇用に限らず、一般の健常の就職面接でも難しいアクションだと思う。だいたい、会社はネガティブな情報は隠すよ。当たり前じゃん。勿論、労働者側も隠すしね。そこは無理だろうな、と思った。
でも、精神障害の面接で「自殺願望がありますか?」と聞く、というのは、なかなか面白いな、と思った。そこで「言わなきゃいけませんか?」と答えたら危ない、ってのも、かなり核心を突いていると思う。ちなみに、私は「時々ある」だ。

最後の、精神障害でうつ病の人が題材になっていたけど、これはうつ病じゃないというか、精神障害に対する偏見を助長しかねない設定だなぁと思った。うつ病の人が全員、あんなミスを指摘されたくらいで逆切れして「辞めます」なんて言って帰っちゃうと思われたら、本当に迷惑だ。悪いが、こういう人は退職してもらいたい。
ここでまた障害者の労働組合の人の意見だが、今回は珍しく意見が一致して、きちんとした手続きを踏んで退職するのが、私も良いと思う。しかも、この人の中身がまた良くて、退職理由を書いてもらうとか、あぁなるほどな、と思う点があった。確かに、長時間労働でうつの再発が起きている可能性もあるのだから、そういう話し合いの機会を持つのは大事だろう。