ETV特集「長すぎた入院」

今日深夜に放送された、ETV特集の再放送「長すぎた入院」を見た。
この番組の前半部分は、以前のETV特集か、あるいはハートネットTVあたりで作られた映像の使いまわしのように見えた。NHKちょっと手抜きすぎじゃない? こんな手抜き映像で視聴者を誤魔化そうとしても無駄だぞ。この手の精神障害系の番組は、だいたい見ているので、気が付きます。

さて内容だが、何十年も長期入院する人がいるということで、本当に可哀相な話だなぁと思った。私は身体科の手術で1週間だけ入院したことがあるけど、それだけでも飽きた記憶がある。唯一、テレビが無料で見られたので、毎日毎日、テレビばかり見ていた。携帯はガラケーでネットはまともに使えないし、パソコン等の持ち込みも不可だったし、特に手術痕が良くなって、肉体的に動けるようになってからは、ベッドのうえでじっとしているのが苦痛でたまらなかった。
そして、冒頭に出てきた時男さんは、家族がお見舞いに来るのが年1回というので、度肝を抜かれた。ありえないだろ。うちは、私の入院中、母が毎日来てくれた。5分とか10分とか、ほんの短い時間の面会で、「お母さん忙しいから毎日来なくてもいいよ」と言ったんだけど、「心配だから」と来てくれた。今思えば、なんとありがたいことか。
まぁその時に、「1週間の入院と最初から分かってるから、毎日来れる。これが1か月数か月、何年、という単位になったら、毎日は来ないよ」と言っていたから、時男さんの親御さんも、そういう心境になっていたのかもしれない。いやでもしかし、年1回は可哀相だよ。

後半に出てきた美千世さんという女性にも、同じことが言えた。退院してグループホームに入所するのに、「本当は実家に帰りたい」と言ったら、実の父親から「来るな、もう60にもなろうとしている人間が、親を頼るな、独立しろ」みたいなことを言ってて、更には「迷惑だ」とまで言い放ったので、軽く絶望した。こんな酷いことを言われて、娘が傷付かないとでも思っているのだろうか? 酷すぎない?
なんていうのかな、親に精神病に対する理解がまったく無いんだよね。知識も理解も何もない。だから、精神疾患=キチガイみたいな図式で、親が子供のことをナチュラルに差別している。キチガイになっちゃったらもう自分の子じゃない、病院送りにして、一生そこに閉じ込めておけばいい、みたいなことしか考えてない。凄いなと思った。偏見がね。実の親なのに、実の子の病気について、勉強しようとか理解しようとかいう精神が、1ミリも存在しないというのが、本当に驚いた。
でも、それ言うとうちの親も、似たようなもんなんだよね、精神疾患に限定すると。今でこそ、精神障害者の家族会に出るようになったけど、最初の数年は「私には必要ない」って拒んでたからなぁ。今も、参加はしているけど、病気の事を学んでいるかといったら、違うような気がする。ただなんか本当に、障害者の家族どうしで愚痴の言い合いをしているだけみたい。なんだかなぁ。

こういうのは全部、国が推し進めてきた「隔離収容政策」というものに基づいて行われてきたんだけど、これで社会の精神障害に対する差別意識が助長されたのであれば、国はまた同じく、なにがしかの方法をもって社会に残った差別意識を払拭するための政策を打ち出す必要があるのではないか、と思う。
それが、精神保健福祉法であることは分かるけど、現状、これだけでは全然差別が解消されていないように見受けられる。例えば、主婦やフリーター、学生が、短時間のパート勤務は可能なのに、障害者雇用という話になると、何故か毎日フルタイム勤務という条件を突き付けられる。普通のコンビニ店員などで障害者雇用って出来ないのかね? なんかそこらへんとか、制度がすごく硬直化しているんじゃないかと思うんだよねぇ。

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