シダックスの思い出

シダックスがカラオケ事業から撤退するとか。実は私、20代の頃、シダックスでバイトしていました……。半年くらい勤めて、ある日突然「辞めます」と電話連絡する、という、一番やっちゃいけない辞め方をした。だって、先輩から陰湿なイジメを受けてたんだもん。こっちだってGWの繁忙期に、嫌がらせで辞めてやるって気分になるでしょ? 「お願いだから、1日3時間でもいいから戻ってきて!」と毎日電話がかかってきたけど、「いじめたの、あなたですよね? そんなところで働けるわけないでしょ?」と取り合わなかった。
いじめの具体的な内容は、賄いの料理(だいたい冷凍食品)がどいつもこいつも半解凍で、ろくに食べられない状態で持ってこられたこと。料理自体は美味しいんだけど、さすがに半解凍は無いだろう。

まぁそれはともかく、働いていた頃の思い出。製パン工場で働く常連のおばちゃんに「職場のパンなんだけど、もらってくれる?」とパンを貰ったこととか。これまた常連のいつもほろ酔いで来るおじいちゃんから、ラクダ色の腹巻の中から取り出した、溶けかかった飴玉を貰ったこととか(これはさすがに速攻で捨てた)。宴会のご相談にいらした主婦仲間御一行様に、宴会プランの提案をしていて、「デキャンタのほうがパーティーっぽい雰囲気、出ますよ?」と言ったら、一瞬で一同顔を見合わせて「そうだ、パーティーだよ! うちらがやりたいのはパーティーなんだよ!」と盛り上がって、「パーティーパーティー」と騒ぎ始めたこととか。その当時あった孫悟空という機種で、「100点出たの!」と興奮気味に報告に来たおばあちゃんとか。
ほんと、仕事は凄く楽しかった。接客業は初めてだったけど、やりがいあるな~と思ってた。

ただ、やはり難癖をつけるガラの悪い客もいたのは事実で、私も恫喝されて、非常ボタンを押そうとしたことが何度かあった。副支配人が「押しちゃダメ、こっちでなんとかするから」と小声で言って来たので、押したことは無いんだけど。あれ、滅多なことでは押したら駄目らしいね。じゃあ何の非常ボタンなんだよ、って気もするけど。

私が働いていた頃は、1時間ドリンク別、ルーム代のみで180円だったかな。凄く安いよね。ってことで、毎日カラオケの自主練習にやってくる常連の方が、3名はいたと思う。勤めて1か月くらい経つと、お客さんも慣れてくるみたいで、「〇〇さん、名前覚えたわよ」ってわざわざ教えてくれたり、先述のように差し入れをくれたり、天気の話をしたり、ほんと気さくに話してくれるお客さんが多かった。
特に私は、12時~18時までの昼間の時間帯(早番と言っていた)の勤務だったから、お酒を飲む人がほとんどいなくて、絡まれたりすることがほとんど無くて、その点はまだマシだったらしい。18時~朝までの中番・遅番は、時給も高いんだけど、客層も若干悪くなるので、接客経験がある人しか入れられない、と面接時に支配人から聞いた覚えがある。
そこまで言いつつ、「erikioさん、パートにならない? ボーナスも出るよ?」と支配人・副支配人から何度も誘われたのは、なんだったのかなぁといまだに思う。

最後にシダックスへ行ったのは、数年前。1人で行ったら「お一人様は別料金が加算されますが」と言われ、世の中「ヒトカラ」で一人カラオケが流行り始めた頃なのに、何時代錯誤なこと言ってるんだ!と思って、急速に冷めた。それ以来、行ってない。やっぱりね、ちょっとシダックスは戦略を間違えたと思うよ。
まぁもともとシダックスは給食事業で展開していて、保健所に就職した同級生に「今シダックスで働いてるんだ~」って言ったら、「あぁ病院食の」って言われたくらいだから、その世界では有名なのだろう。確かに、食事は美味しかった。半解凍でなければ(まだ根に持ってる)。