今回は、少し前に関西で相次いだ、精神障害者の監禁事件をテーマにした回だった。
番組では、病気で暴れた理由をハッキリ語っている人が何名かいたけど、私の場合、ちょっとよく分からないんだよね。祭りのお囃子みたいな音が聞こえたので、それに合わせて「ちゃかぽこ、ちゃかぽこ」(知っている人もいると思うが、これはかの有名な『ドグラ・マグラ』の一節である)というフレーズを叫んだり、歌ったり。
各部屋のドアに小刀をドンドンドンドンと突き立てて、穴だらけにしたのは、本当に自分でも理由が分からない。なんとなく、弟が憎かったとか、父親が憎かったとか、そういう感情はあったけど。うーん、何かに「させられている」感じはあったかもしれない。
そう思いながら番組を見ていて、ふと髭面の男性が「どうしたらいいか分からないから、なんか助けて欲しい」と語っているのを見て、「あ、これだ」と腑に落ちた。暴れるようになるまでの間、多分数年かな、親には何度も言葉で説明した。つらい、しんどい、朝起きれない、夜眠れない、大学に行くのが苦痛だ、私が開けられないようにドアを押さえている巨人がいる等々。そのすべてを、「そんなバカなこと言ってないで早く学校へ行け」「それは怠けだ、怠けるな、サボるな、甘えるな」と言われ、受け入れてもらえなかった。そしたらさ。そりゃもう残された手段は、実力行使しか無いよね?
番組でも言われていたが、そのことで我が家が社会から孤立していた面は、かなりあると思う。今でこそ、母が家族会へ行くようになったけど、そうなるまでには、私が支援センターへ通うようになって5年の歳月が必要だった。その前の、何年も引きこもっていた時期は、会話もしない状態が続いていたから、親が私を病院へ連れて行こうとすることなど難しかっただろうし、そもそも親もそのつもりが無かったようだった。
親は新興宗教をやっているんだが、恐らくそこでは、私のことを相談していると思う。でも、そこの「相談」というのは、普通の人が考える相談ではなく、「霊能者」による「霊視」によって神のお告げをもらうことなので、私の親もかなりキチガイじみていると言えよう。多分、そんなところで相談しても、何の解決にもならないと思う。
大阪大学準教授の方が、監禁や拘束をしてしまった家族は、まともな精神状態で判断していない、みたいな話をしたのが、かなり印象的だった。私が大暴れしていた時、父親も売り言葉に買い言葉なのか、暴言を吐いていたし、折れるんじゃないかというくらい強く腕や脚を捕まれたりした。
私は、皮膚に接触されるとそこから考えが読み取られる、という幻覚?が子供の頃からあるので、その腕や脚を掴まれた時は本当に不愉快というか恐怖で、泣き出したことがある。すると父親は「泣いて済むと思うなよ!」とまた大声で怒鳴る、みたいな負のループが続く。そういう生活が半年以上続いたと思う。
精神疾患、特に統合失調症や双極性障害は、病識が無いのが特徴だから、準教授の方も言っていたが、家族が「もう耐えられない」と思っても、患者を病院へ連れて行くことがもう難しくて、家の中で面倒を看るしかない、という状況に追い込まれてしまう、というのは、本当に容易に想像できる。うちもそうだったから。以前母が「erikoが引きこもっている時や大学生で暴れている時、結構限界だった」とこぼしたことがある。
このあたりの話になったとき、玉木さんが「監禁は犯罪」と言った話をしたんだけど、それに対して準教授が反論してて、玉木さんは「家族も被害者で~」って言い訳していたけど、ちょっとこれは玉木さんも勉強不足なように感じた。
後半、寝屋川の精神科クリニックで、医療スタッフが精神疾患患者の家を訪問するシステムが紹介されていて、これは良いなぁと思った。っていうか、なんで今まで無かったの?という感じ。
内科の往診なんかは、昔は結構気軽にやってくれたように思う。祖母が同居していた頃、かかりつけの内科に何度か往診を頼んだことがある。なのに、精神科となると何故か訪問してくれない。とにかく患者を連れてこい、と言われるだけ。
恐らく、多くの精神科医が、精神科の往診の必要性を認めていると思う。ただ、割に合わないからやらないだけだろう。このクリニック、赤字じゃないのだろうか? スタッフを大量に抱えているようだけど。他人事ながら心配してしまう。