萩尾望都『メッセージ』読了

私の大好きな漫画家、萩尾望都の『メッセージ』を読了した。

この本は、「ここではないどこか」というシリーズのうちの1作品で、緩やかに連載されている小作品群を集めたような感じの本となっている。だから、萩尾作品に馴染みが無い人でも、スムーズに入っていけるし、馴染みがある人なら尚更、楽しめると思う。

本の前半は歴史モノで、歴史が苦手な私にはちょっと合わなかったが、奥付の松田青子さんのエッセイを読んで、この作品の見方がガラッと変わった。そして、改めてもう一度前半を読み直した。
愛について、人を変え、時代を変え、舞台を変え、深く丁寧に描いてある。それが普遍的なテーマであるからこそ、過ぎた時代を舞台にした物語でも、色褪せずに説得力を持つ。
萩尾望都はたしか結婚も出産もしていない人だったと思ったけど、どうしてここまで親子の愛や家族愛を描けるのだろうか、と不思議でならない。想像力の賜物なのだろうか?

後半は舞台を現代に移して、恋愛模様を描いていた。これは私にも経験がある愛だ。でも、こんなに献身的というか、盲目的というか、「報われなくても良いから、好きでい続ける」というのは、ちょっと私には無理かなぁと、一瞬思ったけど、そういや若い頃、3回も告白した人がいたっけ、とか、どうでもいいことを思い出してしまった。あぁあれは、若さゆえのことだったのか。
今は愛よりも金が欲しい。金さえあれば何でもできる。ホリエモンが言ってたけど、だいたいそうだと思うよ。愛する人と、河原で段ボールハウスに住みたいか? 嫌だろう。やっぱり最低限のお金は必要。