初めての待合室

支援センターで読んだ『こころの元気+』という雑誌の特集が、「待合室の世界」ということで、「初めての待合室」とか色々コーナーがあったので、自分も考えてみた。

私にとっての「初めての精神科の待合室」は、21歳の時に初めて訪れた、小さいメンタルクリニックだった。大きなターミナル駅まで出て、その駅から更に15分くらい歩く所で、場所も悪かったのかもしれないし、もう20年以上も前の話だから、当時は精神科なんてポピュラーな診療科じゃなくて、気軽に通院するような場所じゃなかったと思う。
そのメンクリの待合室は、一般の内科のように白を基調とした作りで、ソファはコの字型に置かれていて、棚にはぬいぐるみやCDが無造作に置かれていた。予約制ではないのに、待合室で他の患者とバッティングすることは、ほぼ無く、というか記憶に無く、どんだけ儲かってないんだよ、潰れたら困るよ、って毎回通院するたびに思っていた。
ある時、そのメンクリの医師が「あなたも好きなぬいぐるみとかCDとか、持ってきて、待合室に置いてて良いんだよ」みたいなことを言った。その時初めて、あの待合室の棚にある物が、患者の私物であることを知った。なんかそこでふと、「あ、良い医者だな」と思った。

結果的に、1年ほど通院したけど、病状は良くならず、むしろ自殺未遂をしてしまったため、地元のメンクリに転院したんだけど、障害年金をもらうために初診の書類を書いてもらいに、その最初のメンクリへ行ったら、物凄い人であふれてて、「随分繁盛するようになったじゃないか!」と思った。でも、医者は相変わらず、のんびりとした感じで、あぁこんな優しそうな医者だったら、患者も来るよなぁと思った。

約20年経って、今のメンクリへ初めて訪れた時は、まずWebサイトで下調べをしていたので、だいたいどんな感じか、想像は付いていた。唯一、予想外だったのは、待合室が薄暗かったこと。Webサイトの紹介写真では、見栄えをよくするために電気全開で写っていたみたい。
この薄暗いのが、実は今でも馴染めない。私は明るい部屋が好きなので。