寿司屋で「お願いいたします」

私は尊敬語とか謙譲語の区別が得意では無いので、何が正しいのかもよく分からないのだけど、今日母が「昔、〇〇(弟)に回転寿司へ連れて行ってもらって、『エンガワお願いいたします』って頼んだら怒られちゃった」と突然言った。弟は「いたします」が余計だ、と言いたかったようだ。
私も弟と同じ意見で、「いたします」は不要だと思う。なんというか、客の立場なのにへりくだり過ぎていないか?という感じ。

「お客様は神様です」だからもっと横柄でもいい、と言いたいわけではない。ただ、普通に「お願いします」と何故言えないのか? 「お願いいたします」というのは、イメージ的に「忙しいところを無理やり頼んですみません。お手数をおかけしてすみません」のような、「申し訳ない」という気持ちが入っているように感じる。まぁあくまでも「私が」感じているだけで、世の中の人は感じないのかもしれない。
でも案の定、母は「申し訳ない」という気持ちを持っていて、だから「お願いいたします」と言ったそうだ。

さて。これが近所づきあいでも同じ調子なのだ。近所の人に会って挨拶をする時、顔を般若のように引きつらせて愛想笑いをし、コメツキバッタのようにペコペコ頭を下げる。
例えば近所の人が、田舎から送られてきたミカンのおすそ分けをしてきても、「まぁ~先日は大変高価なおミカンをいただきまして、誠にありがとうございましたぁ~! さっそくいただきましたら、ほっぺたが落ちそうなほど甘くて、まぁ~本当にこんな素晴らしいおミカン、食べたことございません!」等々、過剰なまでに褒めちぎるから、近所の人がドン引いてるわけですよ。

それを、かなり前にお隣のおばさんから相談されたことがあった。「erikoちゃんのお母さんって、家でもあんな感じなの?」的な。そこで、近所の人も母のあの態度を「不自然だ」と思っていたんだなぁと、改めて知ることが出来た。
そのおばさんには、家では全然違うこと、母の態度はへりくだり過ぎていて卑屈、もはや慇懃無礼であること等を指摘していたが、まったく改善されないことなどを話したら、おばさんはホッとしたようで、「erikoちゃんはおばさんともっと気楽に話してくれていいからね」と言われた。

母は街の電器屋や木の剪定に来た業者など、そういう人達にも過剰にへりくだっていて、やっぱりコメツキバッタのように頭を下げている。「はい、はい! 本当にお忙しいところありがとうございました! まことにすみません! はい! 恐れ入ります!」みたいな……。どっちが業者か分からない。ほとんどの業者は、母のへりくだりように戸惑っている。
こういうのホント止めて欲しいんだよね。でも、もう70過ぎてるし、母を変えることは無理なんだろうなぁ。