『精神科ナースになったわけ』読了

『精神科ナースになったわけ』という、コミックエッセイの漫画本を読み終えた。

この本はどこで知ったのか忘れたけど、とりあえずアマゾンの欲しいものリストに突っ込んでいた本で、送料の都合で他に買う物が出来たら買おう、と思っていた。それが、ようやく最近買う物が出来て、この本も買うことが出来た。
この漫画の冒頭部分は、作者のWebサイトから読めるようになっている。それで、最初はあまり興味が無くて、時間潰しに読み始めたのだけど、読んでみたら凄く面白くて、最後に「続きは漫画を見てね」みたいなセリフがあったんだけど、今までだったら、「あっそ」とスルーするところが、この漫画は「続きが読みたい!」と思ってしまい、買う気になったんだ。

どうして続きが読みたくなったかと言うと、Webサイトから読める範囲に出てくる、統合失調症の帽子をかぶり続けている細木さんがとても気になったからだ。細木さんは、真夏でも帽子をかぶっている。本人も暑いと思っているが、かぶっている。その理由が、「脳みそが出て来るから」とは。絶句したと同時に、涙が出た。
健常者から見れば荒唐無稽なことであっても、統合失調症患者にしてみれば、「帽子を取ると脳みそが出てしまう」と感じるのは、本当にリアルな体感で、恐ろしいと感じているのだろうな、ということが、手に取るように分かった。だから、同情して涙が出てしまったのだ。

第2章になると、より看護師目線での話が増えた。私は、精神疾患を患って長いけれども、精神科への入院経験は無いんだよね。だから、精神科病棟での患者さんの様子や、それを看護する看護師の気持ちとか、想像もつかない。怖いもの見たさで知りたいな、と思った。
やっぱり、精神科の病院で働くと、そのハードさから精神を病む看護師もいるそうだ。それはなんとなく分かった。介護士も結構キツイもんがあると、聞いたことがあるし。でも、主人公の看護師は、自分の経験から精神科の看護師になりたい、と希望していたせいなのか、適性があったのか、そこらへん上手く立ち回っていた。凄いなと思った。
私が普段利用している支援センターや作業所の職員も、かなりストレスが溜まる仕事だと思うけど、どうやって発散したり、メンタルのバランスを取ったりしているのかな、と思う。看護師と違ってそんなに高給取りでもないから、買い物で発散は出来ないだろうし、またそういう話を聞いたことも無い。

第3章の鈴木さんは、外出で死ぬんだろうな、って大体予測できた。でも、実際にそうなると、ショックだよなぁ。自分も希死念慮が強い時期があって、外に出たら死ぬ行動を取ってしまうだろうな、と自分が怖かったことがある。でも、今はそんなに希死念慮は強くないかな。私はどちらかというと躁が多いから。

そんな感じで、精神科の薬を飲むようになってから、本がなかなか読めなくなった、と思っていたけど、この漫画は1時間足らずで一気読みしてしまった。それくらい面白かった。
懸念していたプライバシーの問題、漫画に登場する人々に許可を得ているのだろうか、という問題は、巻末に協力者一覧のようにして書いてあったので、クリアされているのだと信じよう。
あと、残念だったのは、作者が現役の精神科の看護師ではなかったこと。私、てっきり看護師が漫画描いているんだと思ってたよ。職業漫画家なのか。なんかガッカリ。